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足部のアーチ機能・ウィンドラス機構について(ヒトの足部④)

足部のアーチ機能とウィンドラス機構を幾何学的に表現したアイキャッチ画像。三角形とオレンジの張力線で足底腱膜によるアーチ挙上作用を抽象化しています。タイトル:足部のアーチ機能・ウィンドラス機構について(ヒトの足部④)|NEUROスタジオ大阪・東京・千葉 臨床実践コラム

💡この記事の要約:足部内在筋とウィンドラス機構の関係

足部内在筋(母趾外転筋、短趾屈筋など)は、歩行中に単にアーチを支えるだけでなく、タイミングよく活動することで足底腱膜の張力を調整しています。特に、立脚中期から後期にかけて内在筋が遠心的に収縮することでアーチの剛性を高め、ウィンドラス機構(巻き上げ機構)を効率よく機能させ、強力な推進力を生み出す役割を担っています。

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今回は、歩行にとって大事なアーチ、そして推進力生成に関わるウィンドラス機構についてお話ししたいと思います。

足部の3つのアーチとその役割

足部のアーチには、以下の3つが存在します。

足部の3つのアーチ(内側縦アーチ・外側縦アーチ・横アーチ)と骨格構造の解剖図

この3つのアーチが存在するからこそ、

床面に対して柔軟に適応・変化することができ、立脚期が安定する
バネのように機能することで、推進力の生成に関わる

ことができるということです。

つまり、足部の役割としては、以下の二つの側面が重要であると考えます。

ですがこの足部のアーチは『骨のアライメント』や『靭帯組織』だけでは、十分な柔軟性や剛性を高めることはできません。

それには足部の内在筋の働きが重要な役割を果たしているとされています。

足部内在筋とウィンドラス機構の役割

ここからは、Luke A. Kelly (2014) の論文を参考にストーリーを進めていこうと思います。

Lukeらは歩行時に重要な足部内在筋の活動を計測し、どのタイミングで活動を起こしているかを計測しています。

計測筋は、以下の通りです。

①母趾外転筋
②短趾屈筋
③足底方形筋

足部内在筋(母趾外転筋・短趾屈筋・足底方形筋)の解剖学的な位置と走行

姿勢制御に関わる ①母趾外転筋

①母趾外転筋は、踵接地前に一度活動が起こり、立脚初期にかけてピークを迎えます。

母趾外転筋の役割は、踵接地前に活動が開始する点が大事だと考えられます。立脚開始前に活動することで内側縦アーチに緊張を与え、安定した立脚期を迎えるための姿勢制御の準備に関与していると考察されます。

また、立脚初期にかけてピークを迎えるところを見ると、母趾が外転することで、足部の内外側に広さを与えます。つまり第1中足骨から第5中足骨間が広くなるための条件の一つではないかと考えられ、立脚中期から後期にかけて、前足部の安定に関与するのではないかと考えます。

歩行周期(立脚相)における母趾外転筋の筋活動タイミングとアーチ高の変化(Kelly 2014)

 

姿勢制御と推進力生成に関与する、②短趾屈筋と③足底方形筋

②短趾屈筋は、立脚中期から後期にかけて活動のピークが起こります。最も重要な視点は、短趾屈筋の筋腱複合体(Muscle Tendon Unit)が立脚初期~後期にかけて長くなり、Toe Off 直前に距離が短くなる点です。

③足底方形筋は、立脚初期に小さな活動が出現し、立脚後期~Toe offにかけて活動のピークが生じます。

短趾屈筋は踵骨隆起下面と足底腱膜近位部に付着するので、足底腱膜の緊張に関与することが想像できます。筋活動が立脚中期から後期にかけて活動がピークを迎える点を考えると、体重支持によって足底腱膜に緊張が加わり、内側縦アーチが下降するのを、遠心性の活動によって制動をかけています。

つまり、Lauren Welte (2018) が提唱する足底腱膜のアーチ・スプリングの伸張を調整しています。そして、踵が床から離れた途端に伸張していた足底腱膜のアーチ・スプリングがリコイル様に短縮し、ウィンドラス機構が活動的になるというわけです。

足底方形筋はこの踵が床から離れた後に筋活動がピークを迎えます。これらの働きは内側縦アーチが、足底腱膜のリコイルによって剛性が低下するのを足底方形筋の活動によって剛性を維持するのに関わりがあると考えられます。

①アーチが高くなり、②足底腱膜が短くなる、③剛性が低くなる、④足底方形筋が縦アーチの剛性を維持するという時系列が説明できます。

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足部機能の時系列まとめ

以上長くなりましたが、簡単に時系列にまとめると以下の通りです。

1. 踵接地の前に母趾外転筋が足部の安定に活動を開始する
2. 支持期に移行する
3. 立脚中期から後期にかけて短趾屈筋が遠心的に活動し、筋腱複合体の長さを制動する
4. 足底腱膜のアーチ・スプリングの伸張
5. 踵が離れる
6. 足底腱膜のアーチスプリング短縮(リコイル)
7. 縦アーチの剛性を足底方形筋が維持
8. 前方への推進力生成

臨床的にどうみていくか?

✔︎踵接地の前のFeed forward制御として、母趾が外転しているのか?
✔︎MP関節の伸展は得られるのか?短趾屈筋は柔軟に長さの変化を出せるのか?
✔︎爪先立ちをした際に、内側縦アーチの剛性は維持できているのか?

という点を評価としてみてみると、歩行の何を見ればいいのかが、少し分かるかもしれません!

ウィンドラス機構における足底腱膜の緊張と短趾屈筋・足底方形筋の役割を表す模式図

FAQ(よくある質問)

Q1. ウィンドラス機構とは簡単に言うと何ですか?

A. 足の指(特に親指)が反り返ることで、足の裏にある「足底腱膜」が巻き上げられ、足のアーチが高くなる現象です。これにより足が硬くなり、地面を強く蹴るバネのような役割を果たします。

Q2. 母趾外転筋がうまく働かないとどうなりますか?

A. 踵が地面につく前の準備(フィードフォワード制御)ができず、着地時にアーチが過剰に潰れやすくなります。結果として衝撃吸収ができず、外反母趾や足底の痛みの原因になる可能性があります。

Q3. 短趾屈筋の「遠心性収縮」とはどういう意味ですか?

A. 筋肉が「引き伸ばされながら力を発揮する」状態です。体重がかかってアーチが沈み込もうとする力に対し、短趾屈筋がブレーキをかけるように働くことで、バネのエネルギーを蓄えています。

Q4. 足底方形筋は歩行のどの場面で重要ですか?

A. 踵が地面から離れた後の「蹴り出し」の瞬間です。足底腱膜が縮んで足が不安定になりそうな時に、足底方形筋が活動して剛性を維持し、スムーズな推進力をサポートします。

Q5. 臨床で内在筋の問題を見抜くポイントはありますか?

A. 踵上げ(ヒールライズ)動作を行った際、踵が内側に倒れずに真っ直ぐ上がるか、また指の付け根(MP関節)がしっかり反り返っているかを確認します。アーチが維持できない場合は、内在筋の機能不全が疑われます。

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執筆者情報

大上祐司(おおうえ ゆうじ)
NEUROスタジオ大阪 施設長 / 理学療法士

主な研究業績
2019年 ボバースジャーナル42巻第2号 論文発表(2編)
『Sit to Walkの効率的な運動遂行を獲得するために臨床推論を行い改善が得られた1症例』
『被殻出血後7ヶ月経過し、屋外歩行自立に向けて挑戦した1症例』

研修会受講歴
2018年 イギリス海外研修参加(脳卒中治療技術)
2019年 イギリス海外研修参加(最新エビデンス習得)
継続的な国内外研修会参加によるスキルアップ

スタッフの詳細はこちら

参考文献

  • Intrinsic foot muscles have the capacity to control deformation of the longitudinal arch(足部内在筋は縦アーチの変形を制御する能力を持つ) Luke A. Kelly et al. (2014) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3928948/
  • Sensitivity of the Windlass Mechanism to Plantar Aponeurosis Properties(ウィンドラス機構の足底腱膜特性に対する感度) Lauren Welte et al. (2018) https://asmedigitalcollection.asme.org/biomechanical/article/140/6/061003/368812
  • The foot core system: a new paradigm for understanding intrinsic foot muscle function(フットコアシステム:足部内在筋機能を理解するための新しいパラダイム) Patrick O McKeon et al. (2015) https://bjsm.bmj.com/content/49/5/290
  • The mechanics of the foot. II. The plantar aponeurosis and the arch(足の力学 II:足底腱膜とアーチ) J. H. HICKS (1954)