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4ヶ月児と6ヶ月児の姿勢調整と到達運動に関するEMGと運動学的研究

背景

本研究は、4か月および6か月齢の乳児における「姿勢調節」と「リーチ動作」の関連性を、筋電図(EMG)および運動学的な観点から分析したものである

リーチ行動の発達過程において、姿勢制御が果たす役割に着目し、姿勢筋の活動とリーチ動作の質の関連を明らかにすることを目的とした

方法

被験者は健常な乳児13名で、それぞれ4か月と6か月の2回にわたり実験を実施

乳児は仰向けと椅子に座った姿勢の両方でおもちゃに手を伸ばす課題に取り組んだ

腕・首・体幹・脚の筋肉から表面筋電図を収集し、同時に腕の動きの軌跡をキネマティクス装置により記録

結果

1. 方向特異的姿勢調整:

4ヶ月と6ヶ月の仰臥位および座位の乳児のリーチング運動の約50%が方向特異的姿勢調整(手を伸ばす方向に応じて体の背側または腹側の筋肉が選択的に活動すること)を伴っていた

2. 発達的変化:

4ヶ月時点では姿勢調整におけるバリエーションが支配的であったが、6ヶ月になると以下の傾向が現れた:

・座位時におけるトップダウン方向(頭から足へ)の筋活動順序の選好

・首・胸・腰の背側筋を同時に活動させる「完全パターン」が好まれる傾向が見られた

3. 姿勢調整と到達運動の質の関係:

方向特異性の存在、「完全パターン」の存在、トップダウン方向の募集といった姿勢特性は、リーチングの成功率と運動学的質に関連

方向特異的活動を伴うリーチングは、運動単位(MU)が少なく、最初の運動単位が相対的に長い傾向

4. 座位と仰臥位の違い:

座位時には6ヶ月児でトップダウン募集が約65%まで増加しましたが、仰臥位では変化が少なくなっている

リーチングの成功は仰臥位の方が座位よりも高く、これは仰臥位の安定性が高いことを示している

まとめ

・生後4〜6か月で姿勢調節の質が向上する

・座位は仰向けより姿勢制御の難度が高く、制御の差が顕著に現れる

・姿勢制御の改善が、運動のスムーズさやリーチの成功率と強く関連している

特に6か月では、「top-downな筋活動順」や「完全パターンの筋活動」が、より質の高いリーチ動作につながっていることが示された

参考文献

Victorine B et al. Postural adjustments and reaching in 4- and 6-month-old infants: an EMG and kinematical study. 2007

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