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脳卒中後の肘関節伸展は運動機能障害とパフォーマンスを予測する

今回はCrystal L. Massieらの論文をご紹介します。

脳卒中は上肢のリーチ能力に影響を与える一般的な障害です。リーチ動作は日常生活動作の重要な要素であり、この機能の低下は自律性と生活の質の低下につながります。

目的

近年、脳卒中リハビリテーションでは、運動学習、運動制御、活動依存性の神経可塑性に基づくアプローチが増加しています。しかし、従来の評価方法は主にタスクの完了時間や主観的評価に依存しており、具体的な動作戦略に関する定量的データが不足しています。

この研究は、リーチング動作の運動学的分析と一般的な機能評価指標との関係を明らかにすることを目的としています。

方法

対象:35名の脳卒中患者

(発症後6ヶ月以上経過し、一定の上肢機能(手関節と指の伸展が10度以上、肩関節屈曲が約30度以上)を有する者)

評価項目:Wolf Motor Function Test (WMFT)の時間と機能的能力

     Fugl-Meyer assessment (FM)

     運動学的分析(肩関節屈曲、肘関節伸展、体幹の移動)

運動学的評価:3次元カメラベースの動作分析システムを用い、患側の肩の矢状面上に設置した2つのターゲット間でのリーチング動作を分析

結果

WMFT時間とFMスコアには強い負の相関(r = -0.83)

WMFT機能的能力とFMスコアには強い正の相関(r = 0.81)

WMFT機能的能力と時間には強い負の相関(r = -0.94)

運動学的分析では、肘関節伸展が機能的評価と最も強い相関を示し、WMFT時間(r = -0.69)、WMFT機能的能力(r = 0.67)、FMスコア(r = 0.70)との間に有意な関係が見られた。また、回帰分析により、肘関節伸展のみが有意な予測因子として特定された。

臨床的意義

脳卒中後のリハビリテーションにおいて、動作戦略の正確な測定と機能的パフォーマンスとの関連付けの重要性を示しています。特に肘関節伸展能力が重要な指標となることが明らかになりました。

これらの結果は、臨床現場において肘関節伸展機能の改善に焦点を当てたリハビリテーション戦略の重要性を示唆しています。​​​​​​​​​​​​​​​​

参考文献

Crystal L. Massie et al. Elbow Extension Predicts Motor Impairment and Performance after Stroke. 2011

NEUROスタジオ東京 山岸