目的:上腕骨挙上時の肩甲骨運動学に及ぼす座位姿勢の影響を明らかにすること
参加者:健康な成人16名(女性12名、男性4名、年齢21歳)
介入: 特になし
アウトカム:各被験者が直立した座位と腰を落とした座位(うつむき姿勢)で上腕骨挙上を行った際の肩甲骨の動きを測定
結果
・うつむき姿勢では、直立姿勢と比較して、肩甲骨の前傾と上方回旋が有意に増加 また上腕骨はうつむき姿勢でより内旋を呈した
・2つの姿勢における肩甲骨と上腕骨の動きにおいては、うつむき姿勢をとった場合、肩甲骨後傾と外旋に有意な減少がみられたが、上方回旋の大きさに有意な変化はみられなかった
臨床的な意義
【重度姿勢障害の患者さんに対して】
・肩甲骨の安定とセッティングフェーズを得られるよう、難易度を調整して背臥位のなかで体幹の伸展を得られるような環境調整を行う
・座位での介入時に、自力で身体を起こすことが難しければ、椅子にもたれた中で体幹伸展の補償を行いながら肩甲骨に配慮した練習ができる
【すぐに姿勢が崩れてしまうような患者さんに対して】
・臀部(坐骨の後方)にタオルを挟むことで、体幹の伸展が得られやすい配慮を行う
などなど、実際の介入場面でも姿勢と肩甲骨への影響に配慮しながらできそうな工夫点が挙げられます
NEUROスタジオ東京
山岸 梓