脳卒中後、肩に痛みを感じていませんか?
着替えをするとき、腕を動かすとき、夜寝ているときにズキズキと痛む。リハビリを頑張りたいのに、肩の痛みがそれを妨げてしまう。「この痛みはいつまで続くのだろう」「もう良くならないのでは」と不安を感じている方も多いかもしれません。
実は、脳卒中後に肩の痛みを経験する方は22〜47%にのぼり、決して珍しいことではありません。そして重要なのは、適切なケアとリハビリテーションによって、改善の可能性があるということです。
この記事では、脳卒中専門の理学療法士が、2020年以降の最新エビデンスに基づいて、肩の痛みの原因から予防法、自宅でできるセルフケア、専門的なリハビリテーションまで、わかりやすく解説します。
一人で悩まず、正しい知識を持って、改善への第一歩を踏み出しましょう。
もくじ
- 1. 脳卒中後に肩の痛みが起こる頻度と影響
- 2. 脳卒中後に肩が痛くなる3つの主要な原因
- 3. 肩の痛みが起こりやすい人の特徴(リスク因子)
- 4. 脳卒中後の肩の痛みを予防する5つのポイント
- 5. 肩の痛みが出てしまった時の改善アプローチ
- 6. ニューロスタジオでの専門的アプローチ
- 7. よくある質問(FAQ)
- 8. まとめ|肩の痛みは改善の可能性がある。専門家と共に歩む
- 執筆者情報
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1. 脳卒中後に肩の痛みが起こる頻度と影響
1-1. どのくらいの人が肩の痛みを経験するのか
脳卒中後の肩の痛みは、医学的には「脳卒中後肩痛(Post-Stroke Shoulder Pain: PSSP)」と呼ばれています。
2020年の大規模な系統的レビューによると、脳卒中後の肩の痛みの発生率は10〜22%、有病率は22〜47%と報告されています。つまり、脳卒中を経験した方の約4人に1人から2人に1人が、何らかの肩の痛みを経験しているのです。
痛みは脳卒中発症後2週間から2ヶ月以内に現れることが多く、早い方では発症後1週間以内に痛みを感じることもあります。
あなただけではありません。多くの方が同じ悩みを抱えており、そして適切な対応によって改善への道があることを、まず知っていただきたいと思います。
1-2. 肩の痛みがもたらす生活への影響
肩の痛みは、単に「痛い」というだけでなく、生活のあらゆる場面に影響を及ぼします
- 着替えが困難になる(シャツの袖を通せない)
- 食事動作がしづらい(手を口まで運べない)
- 入浴時に体を洗えない
- 夜間の痛みで眠れない
リハビリテーションへの影響
肩の痛みは、運動機能の回復を妨げ、リハビリテーションの遂行に多大な悪影響を及ぼします。痛みがあると、本来できるはずの練習にも積極的に取り組めなくなってしまいます。
心理面への影響
肩の痛みは、抑うつ、不安、恐怖回避、睡眠障害などの心理的変化を引き起こすことが知られています。「また痛むのではないか」という恐怖から、腕を動かすこと自体を避けるようになり、それがさらに機能低下を招く悪循環に陥ることもあります。
さらに、肩の痛みは入院期間の延長やケアコストの増加とも関連しており、ご本人だけでなくご家族にとっても大きな負担となります。
だからこそ、肩の痛みへの適切な対応は、脳卒中後のリハビリテーションにおいて非常に重要なのです。
2. 脳卒中後に肩が痛くなる3つの主要な原因
肩の痛みの原因は一つではありません。複数の要因が複雑に絡み合っていることが多く、これを「多因子性」と呼びます。ここでは、主要な3つの原因を詳しく解説します。
2-1. 原因①局所的・機械的要因(最も多い)
最も多く見られるのが、肩関節そのものの構造的な問題による痛みです。
肩関節亜脱臼
脳卒中による麻痺で肩周囲の筋肉が弱くなると、肩関節を支える力が低下し、上腕骨の骨頭が肩甲骨の関節窩から下方にずれてしまいます。これを「亜脱臼」と言います。
腕の重さは片方で約3〜4kgあります。筋肉の支えがないと、この重さによって関節が引っ張られ、周囲の靭帯や関節包が伸ばされて痛みを引き起こします。
ただし、亜脱臼があるからといって必ず痛みが出るわけではありません。亜脱臼があっても無痛の方もいれば、わずかな亜脱臼でも強い痛みを感じる方もいます。
痙縮による異常な筋緊張
脳卒中後しばらくすると、麻痺した筋肉が異常に緊張する「痙縮」が現れることがあります。肩周囲の筋肉、特に肩を内側に引き込む筋肉(大胸筋や肩甲下筋)が痙縮すると、肩関節が内旋位(内側に回った状態)で固定されてしまいます。
この状態で腕を上げようとすると、肩甲骨と上腕骨の間で筋肉や腱が挟み込まれる「肩峰下インピンジメント」という現象が起こり、強い痛みを生じます。
さらに、痙縮が長期間続くと、筋肉や関節が硬くなる「拘縮」へと進行し、関節の動きがますます制限されてしまいます。
回旋筋腱板(ローテーターカフ)の損傷
肩関節の安定性を保つ重要な役割を果たしているのが、回旋筋腱板と呼ばれる4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)です。
亜脱臼や痙縮、不適切な取り扱い(移乗時に腕を引っ張るなど)によって、この腱板に過度な負担がかかると、損傷や断裂を引き起こす可能性があります。腱板が損傷すると、痛みだけでなく肩関節の機能自体も大きく低下してしまいます。
癒着性関節包炎(凍結肩)
長期間肩を動かさない状態が続くと、関節を包む膜(関節包)が癒着し、関節が固まってしまう「凍結肩」になることがあります。一般的には「五十肩」とも呼ばれる状態ですが、脳卒中後は特に起こりやすくなります。
2-2. 原因②中枢性要因(脳損傷そのもの)
肩そのものに問題がなくても、脳の損傷によって痛みを感じることがあります。
中枢性脳卒中後疼痛(CPSP)
中枢性脳卒中後疼痛(Central Post-Stroke Pain: CPSP)は、脳の痛みを伝える経路(脊髄視床皮質経路)が損傷されることで生じる神経障害性疼痛です。
この痛みの特徴は、「焼けるような」「電気が走るような」「針で刺されるような」と表現される独特の感覚です。温度感覚の異常を伴うことも多く、冷たいものに触れると痛みが増すこともあります。
最近の研究では、CPSPには中枢性感作(脳が痛みを過敏に感じるようになる変化)や、痛みを抑制する仕組みの機能低下が関与していることが明らかになっています。
CPSPは脳卒中後2〜3ヶ月以内に発症することが多く、8〜14%の方に見られると報告されています。
2-3. 原因③複合性局所疼痛症候群(CRPS/肩手症候群)
複合性局所疼痛症候群(Complex Regional Pain Syndrome: CRPS)は、神経損傷に関連した難治性の疼痛症候群で、脳卒中後には「肩手症候群」として知られています。
- 肩から手にかけての激しい痛み
- 腫脹(むくみ)
- 皮膚の発赤や色調変化
- 温度感覚の異常
- 関節の可動域制限
肩手症候群は脳卒中後の10〜20%に発症すると言われており、発症すると日常生活動作が著しく制限されます。
2-4. 複数の原因が重なることも多い
実際の臨床現場では、これらの原因が単独で存在することは少なく、複数の要因が同時に存在していることがほとんどです。
例えば、「亜脱臼があり、その後痙縮が加わり、さらに不適切な取り扱いで腱板を傷めた」というように、時間の経過とともに複雑化していくケースも珍しくありません。
だからこそ、それぞれに適したアプローチを組み合わせることが重要なのです。
3. 肩の痛みが起こりやすい人の特徴(リスク因子)
どのような方が肩の痛みを起こしやすいのでしょうか?リスク因子を知ることで、予防への意識を高めることができます。
3-1. 脳卒中の重症度と関連する因子
2020年の系統的レビューでは、以下の因子が肩の痛みのリスクを高めることが示されています:
- 高齢:年齢が高いほどリスクが増加
- 女性:男性よりもリスクが高い
- 感覚障害:触覚や位置覚の障害がある場合
- 左側の片麻痺:右側より左側の麻痺で多い傾向
- 出血性脳卒中:脳出血の方が脳梗塞より多い
- 半側空間無視:空間認識の障害がある場合
- NIHSSスコアが高い:脳卒中の重症度が高いほどリスク増
これらの因子を持つ方は、特に予防的なアプローチが重要になります。
3-2. リハビリ環境や取り扱いの問題
肩の痛みの発生には、適切でないポジショニングや不適切な取り扱いも大きく関与します。
- ベッド上で患側の腕が体の下敷きになっている
- 車椅子に座るとき、患側の腕が垂れ下がったまま
- 移乗時に患側の腕を引っ張る
- リハビリ中の過度な他動運動
- 肩甲骨のサポートなしでの腕の挙上練習
これらは、適切な教育とケアによって予防可能なリスク因子です。
4. 脳卒中後の肩の痛みを予防する5つのポイント
肩の痛みは、一度発症すると改善に時間がかかることが多いため、予防が何よりも重要です。ここでは、今日から実践できる5つの予防ポイントをご紹介します。
4-1. ①適切なポジショニング(姿勢管理)
肩関節の保護には、安静時の適切なポジショニングが不可欠です。
仰向けで寝るとき:
- 患側の肩甲骨の下に薄いクッションを入れる
- 患側の腕全体を枕やクッションで支える
- 肘と手首も軽く曲げた状態で支持する
横向きで寝るとき:
- 健側を下にして寝る場合:患側の腕を体の前に置き、クッションで支える
- 患側を下にするのは避ける(やむを得ない場合は十分なクッションで保護)
座っているとき:
- 車椅子や椅子に座る際は、アームレストやテーブルで患側の腕を支える
- 腕が垂れ下がった状態を長時間続けない
- 必要に応じてアームスリング(三角巾)を使用する
アームスリングは亜脱臼の予防に有効ですが、長時間の使用は関節の拘縮を招く可能性があります。
理学療法士の指導のもと、適切なタイミングで使用・非使用を切り替えることが大切です。
4-2. ②関節可動域運動の正しい実施
毎日の関節可動域運動(ROM訓練)は、関節の硬化を防ぎ、肩の痛みを予防する上で非常に重要です。
自宅でできる基本的なROM訓練:
1. 肩関節の屈曲(前方挙上)
- 仰向けになり、非麻痺側の手で麻痺側の手首を支える
- ゆっくりと両腕を頭の方向へ上げていく
- 痛みの出ない範囲で10回繰り返す
- 重要:腕を上げる前に、肩甲骨をしっかり支えることがポイント
2. 肩関節の外転(横方向への挙上)
- 仰向けになり、麻痺側の腕を体の横にゆっくり広げていく
- 90度まで上がれば十分(無理に180度まで上げない)
- 痛みの出ない範囲で10回
3. 肩関節の外旋・内旋(回転運動)
- 肘を90度に曲げた状態で、前腕を外側・内側に回す
- ゆっくりと各方向10回
- 絶対に痛みを我慢して動かさない:痛みは体からの警告信号です
- 1日2〜3回、毎日継続することが大切
- 動かす前に温めると、筋肉がほぐれて動かしやすくなります
- 肩甲骨のサポートなしでオーバーヘッド(頭上への挙上)運動は避ける
4-3. ③麻痺肢の正しい取り扱い方法の教育
不適切な取り扱いは、肩関節の損傷や痛みの原因になります。ご本人だけでなく、ご家族や介護者の方も正しい方法を学ぶことが重要です。
移乗時の注意点:
- 絶対に麻痺側の腕を引っ張らない:移乗の際は体幹を支える
- 立ち上がりは非麻痺側の手すりや家具を引っ張らないように使う
- 麻痺側の腕は胸の前で組むか、介助者が支える
更衣時の工夫:
- 服を着るとき:麻痺側から先に袖を通す
- 服を脱ぐとき:非麻痺側から先に袖を抜く
- この順番を守ることで、肩への負担を最小限にできます
入浴時の注意:
- 麻痺側の腕を無理に洗おうとして肩を傷めることがあります
- 可能であれば非麻痺側の手で優しく洗う
- 困難な場合は無理せず介助を依頼する
4-4. ④早期からの適切な運動療法
急性期(発症直後)から、適切な運動療法を開始することが肩の痛みの予防につながります。
急性期のアプローチ:
- 他動的なROM訓練(療法士が動かす)
- 正しいポジショニングの徹底
- 肩甲骨周囲筋の活性化
回復期のアプローチ:
- 徐々に自動運動(自分で動かす)へ移行
- 肩周囲筋の筋力強化
- 日常生活動作への応用練習
重要なのは、段階を飛ばさず、痛みの出ない範囲で少しずつ進めることです。
4-5. ⑤専門家による定期的な評価
肩の痛みは、早期発見・早期介入が非常に重要です。
- 肩関節の亜脱臼の有無と程度
- 関節可動域の測定
- 筋緊張(痙縮)の評価
- 疼痛の種類と程度の判定
- 日常生活動作での問題点の抽出
定期的な評価によって、問題を早期に発見し、適切な対応を取ることができます。
「まだ痛くないから大丈夫」と思わず、予防的に専門家のチェックを受けることをお勧めします。
5. 肩の痛みが出てしまった時の改善アプローチ
すでに肩の痛みが出てしまっている場合でも、適切なアプローチによって改善の可能性があります。ここでは、段階的な改善方法を解説します。
5-1. 専門家による評価が第一歩
肩の痛みの改善で最も重要なのは、専門家による適切な評価を受けることです。
- 問診:痛みの性質、出現タイミング、経過など
- 理学的検査:亜脱臼、関節可動域、筋緊張、感覚など
- 画像検査(必要に応じて):X線、MRI、超音波など
多因子性の痛みでは、複数の原因が絡み合っているため、一つ一つ丁寧に評価していくことが大切です。
5-2. リハビリテーション(理学療法・作業療法)
2020年の系統的レビューでは、様々なリハビリテーション介入が肩の痛みの軽減に有効である可能性が示されています。
段階的なアプローチ:
急性期(痛みが強い時期):
- 目標:痛みの軽減と悪化の防止
- 適切なポジショニングの徹底
- 疼痛管理(冷罨法・温罨法)
- 痛みの出ない範囲での優しいROM訓練
- 痛みを避けた代償動作の習得
回復期(痛みが軽減してきた時期):
- 目標:機能改善と再発防止
- 肩甲骨周囲筋の筋力強化
- 肩関節の安定性向上訓練
- ROM訓練の強度を徐々に上げる
- 日常生活動作での実践練習
維持期(痛みがコントロールできている時期):
- 目標:QOLの向上と再発予防
- 獲得した機能の維持
- 応用的な動作練習
- 自主訓練プログラムの確立
具体的な介入方法:
1. 徒手療法・ストレッチ
- 肩甲骨の可動性改善
- 短縮した筋肉の伸張
- 関節モビライゼーション(関節の動きを改善する手技)
2. 筋力強化訓練
- ローテーターカフ(回旋筋腱板)の強化
- 肩甲骨安定化筋の強化
- 段階的な負荷設定
3. 神経筋電気刺激(NMES)
電気刺激療法は、亜脱臼の改善や筋肉の活性化に有効とされています。弱った筋肉に電気刺激を与えることで、筋収縮を促し、肩関節の安定性を高めます。
4. 課題指向型訓練
日常生活で必要な動作(着替え、食事、整容など)を実際に練習することで、機能的な改善を目指します。
5. 運動イメージ訓練(メンタルプラクティス)
実際に体を動かす前に、頭の中で動作をイメージする訓練。脳の運動領域を活性化し、運動学習を促進します。
5-3. 補助具・装具の活用
- アームスリング(三角巾):亜脱臼の予防、肩関節への負担軽減
- 肩装具(ショルダーサポーター):より積極的な亜脱臼の矯正
注意:長時間使用は拘縮のリスクあり。理学療法士の評価と指導のもとで使用することが重要です。
5-4. 薬物療法
痛みのコントロールには、薬物療法も重要な選択肢です。
中枢性疼痛(CPSP)に対して:
痙縮に対して:
薬物療法は必ず医師と相談の上で行ってください。副作用や他の薬との相互作用にも注意が必要です。
5-5. 注射療法(専門医による)
リハビリテーションや内服薬で効果が不十分な場合、注射療法が検討されることがあります。
痙縮が強い場合、ボツリヌス毒素(ボトックス)を痙縮している筋肉に注射することで、筋緊張を緩和し、
痛みを軽減できる可能性があります
効果は約3〜6ヶ月持続します。
関節内や肩峰下滑液包へのステロイド注射は、炎症による痛みに有効な場合があります。
肩甲上神経ブロックなど、特定の神経に対する注射で痛みを軽減する方法もあります。
これらの治療は、リハビリテーション医や整形外科医などの専門医による評価と判断が必要です。
5-6. 最新の治療アプローチ
鍼治療:
鍼治療(従来の鍼、電気鍼、温鍼など)は、複数の研究で肩の痛みの軽減に有効である可能性が示されています。
経頭蓋直流電気刺激(tDCS):
脳に弱い電流を流すことで、痛みの感覚を調整する治療法です。中枢性疼痛への効果が期待されています。
ロボット支援療法:
ロボットを使った上肢訓練は、正確で反復的な運動練習を可能にし、機能回復を促進します。
バーチャルリアリティ(VR)訓練:
ゲーム感覚で楽しみながらリハビリができるVR技術も、モチベーション維持と機能改善に役立つ可能性があります。
これらの最新技術は、今後さらに発展していくことが期待されています。
6. ニューロスタジオでの専門的アプローチ
ここまで、肩の痛みの原因から予防法、改善方法まで解説してきました。では、ニューロスタジオでは具体的にどのようなサポートを提供しているのでしょうか。
6-1. 脳卒中認定理学療法士による個別評価
ニューロスタジオには、全国取得率わずか2%の脳卒中認定理学療法士が多数在籍しています。
- 詳細な問診とカウンセリング
- あなたの困りごとを丁寧にお聞きします
- これまでの経過と現在の状態を把握します
- あなたの目標(「着替えを自分でしたい」「孫を抱きたい」「仕事に復帰したい」など)を明確にします
- 多角的な身体評価
- 肩関節の状態評価
- 関節可動域の測定
- 筋緊張(痙縮)の詳細な評価
- 筋力測定
- 感覚機能の評価
- 日常生活動作の分析
- 個別プログラムの設計
- あなたの状態と目標に合わせた、完全オーダーメイドのリハビリプログラムを作成します
- 予防・改善・機能向上のそれぞれの段階に応じたアプローチを設計します
一人ひとりの痛みの原因は異なります。だからこそ、画一的なプログラムではなく、あなただけのリハビリが必要なのです。
6-2. 国際水準のリハビリテーション技術
ニューロスタジオのセラピストは、国内だけでなく海外でも学び続けています。
- イギリス/スイス/ドイツ/イタリアなど
- 国際学会や神経科学に基づく最新リハビリテーションの研修に参加
世界基準の技術を日本の臨床へ
海外で学んだ最新技術を、日本の臨床現場に即座に応用しています。2020年以降の最新エビデンスも常にチェックし、科学的根拠に基づいたリハビリテーションを提供しています。
学術活動と臨床の融合:
ニューロスタジオのセラピストは、臨床だけでなく学術活動も継続的に行っています。
- 定期的な学会発表
- 論文執筆
- 近隣の療法士向けセミナーの開催
- 年間200時間以上の療法士教育プログラム「ニューロアカデミー」の運営
最新の研究成果を常に学び、それを臨床に活かす。この循環によって、常に質の高いリハビリテーションを提供し続けています。
6-3. 東京・大阪・千葉で展開中
ニューロスタジオは、現在3拠点で展開しています。
- 東京:アクセス便利な都心部で、最新設備を備えた施設です
- 大阪:関西圏の皆様に、同じ高品質なリハビリテーションを提供しています
- 千葉:さらに多くの方にサービスを提供できるよう、千葉にも新たな拠点を接地
まずは体験リハビリから
「自分の症状にも効果があるのだろうか?」
「どんな雰囲気なんだろう?」
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そんな不安をお持ちの方のために、まずは体験リハビリをお試しいただけます。
- あなたの肩の痛みの状態
- 改善の可能性
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「専門家と一緒なら、きっと道が開ける」
一人で悩み、諦めかけていた方々が、専門的なサポートによって改善の道を歩み始めています。次はあなたの番です。
7. よくある質問(FAQ)
A: 痛みの持続期間は個人差が大きく、一概には言えません。
適切な介入を早期に始めた場合、数週間から数ヶ月で改善がみられることが多いです。一方、放置してしまうと慢性化し、数年にわたって痛みが続くこともあります。
重要なのは、早期発見・早期介入です。痛みを感じたら、「そのうち良くなるだろう」と自己判断せず、早めに専門家に相談することをお勧めします。
A: 夜間痛は、脳卒中後の肩の痛みで非常に多い訴えです。
自宅でできる対策:
- 寝る姿勢の工夫
- 仰向けの場合:患側の肩甲骨の下に薄いクッション、患側の腕全体を枕で支える
- 横向きの場合:健側を下にし、患側の腕を体の前に置いて大きめのクッションで支える
- 寝る前の温熱療法
- 痛い部位を温めることで血流が改善し、痛みが和らぐことがあります
- ホットパックや温タオルで10〜15分程度温める
- ただし、急性炎症期(赤く腫れている)場合は冷やす方が良い場合も
- リラクゼーション
- 深呼吸やリラクゼーション法で筋緊張を緩和
- 痛みへの不安自体が筋緊張を高めることもあります
- 医師と相談の上で鎮痛薬
- 夜間痛が強く睡眠に支障がある場合は、医師に相談して適切な鎮痛薬を処方してもらうことも選択肢です
それでも改善しない場合は、痛みの原因を再評価する必要があるかもしれません。専門家に相談してください。
A: いいえ、必ずしもそうではありません。
亜脱臼があっても痛みを感じない方もいれば、わずかな亜脱臼でも強い痛みを感じる方もいます。
痛みが出やすいのは、亜脱臼に加えて痙縮が加わった時期です。麻痺側の筋肉が硬くなり(痙縮)、その状態で無理に動かそうとすると、インピンジメント(挟み込み)が起こり、痛みが顕在化します。
また、亜脱臼が長期間続くと、周囲の靭帯や関節包が伸ばされ続け、後から痛みが出てくることもあります。
ですから、「今は痛くないから大丈夫」と油断せず、亜脱臼がある場合は予防的なアプローチを続けることが大切です。
A: ご家族のサポートは、肩の痛みの予防と改善に非常に重要です。
ご家族ができること:
- 正しい取り扱い方法を学ぶ
- 移乗時に患側の腕を引っ張らない
- ポジショニングの方法を理解する
- 更衣や入浴時の適切な介助方法を習得する
- 見守りとサポート
- 自主訓練を一緒に行う
- 痛みの変化に気づく
- モチベーションの維持をサポートする
- 環境調整
- ベッド周りにクッションを準備する
- 車椅子のアームレストを調整する
- 日常生活で使いやすい環境を整える
- 専門家との連携
- リハビリの目標や方法について情報を共有する
- 気になることがあれば専門家に相談する
- 定期的な評価に同席する
ニューロスタジオでは、ご家族向けの指導も丁寧に行っています。「何をしていいかわからない」という不安を、一緒に解消していきましょう。
8. まとめ|肩の痛みは改善の可能性がある。専門家と共に歩む
ここまで、脳卒中後の肩の痛みについて詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
- 肩の痛みは決して珍しくない
脳卒中後の22〜47%の方が経験する一般的な合併症です。あなただけではありません。 - 原因は多因子性
局所的要因(亜脱臼、痙縮、腱板損傷など)、中枢性要因(CPSP)、CRPS(肩手症候群)など、複数の原因が絡み合っていることが多い。
1人で悩まず、専門家のサポートを
希望のメッセージ
脳卒中後の肩の痛みは、確かに辛く、時には心が折れそうになることもあるかもしれません。
でも、諦めないでください。
適切なアプローチによって、痛みは軽減できる可能性があります。そして痛みが軽減すれば、着替えや食事といった日常生活がより楽になり、リハビリにも積極的に取り組めるようになります。
一人で抱え込まず、専門家のサポートを受けながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。
「諦めない」ことが、改善への第一歩です。
参考文献
この記事は、以下の2020年以降の最新エビデンスに基づいて作成されています。
- Anwer S, Alghadir A. Incidence, Prevalence, and Risk Factors of Hemiplegic Shoulder Pain: A Systematic Review. Int J Environ Res Public Health. 2020;17(14):4962.
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- American Heart Association. Guidelines for Adult Stroke Rehabilitation and Recovery. Stroke. 2016 (updated guidance 2020-2024).
執筆者情報
大上祐司(おおうえ ゆうじ)
NEUROスタジオ大阪 施設長 / 理学療法士

主な研究業績
2019年 ボバースジャーナル42巻第2号 論文発表(2編)
『Sit to Walkの効率的な運動遂行を獲得するために臨床推論を行い改善が得られた1症例』
『被殻出血後7ヶ月経過し、屋外歩行自立に向けて挑戦した1症例』
研修会受講歴
2018年 イギリス海外研修参加(脳卒中治療技術)
2019年 イギリス海外研修参加(最新エビデンス習得)
継続的な国内外研修会参加によるスキルアップ