🧠 くも膜下出血とは?
くも膜下出血は、脳を覆う膜(硬膜・くも膜・軟膜)のうち、くも膜の下で出血が起こる状態です
突然の激しい頭痛とともに発症することが多く、早急な対応が命に関わります
*脳出血とくも膜下出血の違いは?
脳出血(のうしゅっけつ)とくも膜下出血はどちらも「脳内の出血」ですが、出血する場所・原因・症状・治療法が大きく異なります
◎ 脳出血(脳内出血)とは?
・高血圧や動脈硬化が原因で、脳の中の細い血管が破れて出血
・大脳基底核、視床、橋、小脳などによく起こります
・徐々に症状が進行することも
◎ くも膜下出血とは?
・主に脳動脈瘤の破裂が原因
・「バットで殴られたような激しい頭痛」が突然起こり、意識を失うことも多い
・死亡率が高く、迅速な処置が命を分けます

🔍 主な原因
1.脳動脈瘤の破裂(約70〜80%)
・動脈の一部がふくらんでできた「動脈瘤」が破裂して出血
・多くは高血圧や動脈硬化が背景にあります
2.頭部外傷による出血
3.血管の奇形(動静脈奇形など)
*「脳動脈瘤」について
🧠 脳動脈瘤ができる主な理由は?
1.血管の構造的な弱さ
動脈の分岐部は構造的に弱く、血流による圧力が集中しやすくなっているため、長年の血流の衝撃で内側から膨らみやすくなります
2.加齢
年齢とともに血管壁が劣化し、弾力性が失われて弱くなります
3.高血圧
高い血圧が持続することで、血管にかかる負荷が増加し、壁が傷みやすくなります
4.遺伝的要因
5.喫煙や飲酒
6.動脈硬化
血管壁に炎症や硬化が起こることで、局所的に血管が弱くなります
🧠 なぜ動脈瘤が破裂するとくも膜下出血を引き起こすの?
脳の膜と血管の関係
脳は、3枚の膜に包まれています
- 硬膜:一番外側に位置し丈夫
- くも膜:中間に位置しやや薄い
- 軟膜:脳に密着している薄い膜
くも膜と軟膜の間には、「くも膜下腔」という空間があり、ここを脳脊髄液が流れています
この空間の中には、脳の表面を走る動脈(ウィリス動脈輪など)があります
脳動脈瘤の破裂 → くも膜下出血の仕組み
- 脳動脈瘤は、くも膜下腔を走る動脈にできるこぶです
- それが破裂すると、血液がくも膜下腔に直接流れ出ます
- そのため、出血が「くも膜下出血」として発症します
なぜ危険か?
・くも膜下腔は閉鎖空間なので、出血により脳全体が急激に圧迫されます
・血液による刺激で血管が収縮し、脳梗塞を引き起こすこともあります(脳血管れん縮)
・発症後すぐに再出血するリスクが高いです
主な症状
・突然の激しい頭痛(「今までに経験したことがないほどの痛み」と表現されることが多い)
・意識障害
・嘔吐
・けいれん
・首のこわばり(髄膜刺激症状)
・目の異常(まぶたが下がる、視力低下など)
診断方法
・CT検査:出血の有無を確認
・MRIや脳血管造影:動脈瘤や血管異常の詳しい評価
・腰椎穿刺:CTで分からない場合、髄液に血液が混ざっていないか確認
治療法
外科的治療
・クリッピング術:破裂した動脈瘤の根元を金属クリップで止めます
・コイル塞栓術(血管内治療):カテーテルで動脈瘤内にコイルを詰めて止血
保存的治療
血圧管理、鎮痛、脳の腫れ防止など
合併症と予後
・再出血(初回出血後24時間以内が最も危険)
・脳血管れん縮:出血後数日で血管が収縮し、脳梗塞を起こす可能性
・水頭症:髄液の流れが妨げられ、脳内にたまります
予防
・高血圧のコントロール
・喫煙・過度の飲酒の回避
・定期的な脳ドックなどによる動脈瘤の早期発見
まとめ
くも膜下出血は、脳動脈瘤の破裂などにより、脳を覆うくも膜と軟膜の間に出血が起こる病気です
突然の激しい頭痛、意識障害、嘔吐などを伴い、命に関わる危険があります
主な原因は脳動脈瘤であり、高血圧や喫煙、過度な飲酒などの生活習慣がリスクを高めます
予防には血圧管理、禁煙、適度な運動、バランスの取れた食生活が重要です
NEUROスタジオ東京