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 上肢運動時の腹横筋の働きについて


 先行随伴性姿勢調節(anticipatory postural adjustments:APA)という言葉を聞いたことはありますか?

 APA:意図された運動によって生じる姿勢の乱れは身体にとって外乱となり、この外乱に対応する機構といわれています。今回は上肢の運動に伴って起こるAPAの論文を紹介します。

方法

・被検者健康な7名の成人(平均年齢36歳)

・実験タスク8種類の素早い腕の動き(対称・非対称・片側・両側・錘あり/なし)疑似ランダム化された順序で各動作を6回ずつ実施

・データ収集表面筋電図(左右の内腹斜筋/脊柱起立筋/大腿二頭筋/三角筋)

・ 筋内筋電図 (左右の腹横筋/内腹斜筋/外腹斜筋)

結果

右図は左上肢を動かした際の筋活動を示しています。左上肢が動く前に、右側の腹横筋の活動が先行して起こっています。

研究以前は体幹筋は運動時に両側性に共収縮し、コルセットのように体幹を安定させると言われていました。

Morrisらの研究により、体幹筋は非対称的な活動を示し、動きの方向に応じた特異的な活動パターンを行うことが示されました。

この非対称的な筋活動パターンは、左上肢を上げることによって生じる体幹への回旋トルクを制御するのに役立っていると考えられます

引用論文

Morris,Set al. Transversus abdominis is part of a global not local muscle synergy during arm movement. 2012

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山岸 梓