肥満とは?
肥満とは、体に過剰な脂肪が蓄積された状態を指し、一般的には BMI(体格指数) で判断されます
BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)²
BMIが 25以上:肥満(日本の基準)
BMIが 30以上:高度肥満(WHOの国際基準)
肥満と生活習慣病の関係
肥満、特に 内臓脂肪型肥満 は、生活習慣病の大きなリスク因子です
・内臓脂肪はインスリンの働きを妨げ、糖尿病のリスクを高めます
・血中の脂質が増え、脂質異常症・動脈硬化を引き起こします
・血管が狭く硬くなり、高血圧や心疾患のリスクが上昇
・慢性の炎症状態となり、がんや認知症のリスクにも関係
「内臓脂肪型肥満」とは、おなかの内側(腹腔内)に脂肪がたまっている状態を指します
皮膚のすぐ下に脂肪がたまる「皮下脂肪型肥満」とは異なり、生活習慣病のリスクが特に高いとされています

内臓脂肪の特徴
・蓄積場所:胃や腸などの臓器のまわり
・見た目:外見的にはお腹がぽっこり出ることが多い
・性別傾向:男性に多い(女性は皮下脂肪型が多い)
【診断基準】
内臓脂肪は見た目では正確に判断できないため、CTスキャンで内臓脂肪面積(VFA)を測定します
内臓脂肪面積が 100cm²以上 → 内臓脂肪型肥満とされます
日本ではこれを簡易的に判定するために ウエスト周囲径が用いられます
【メタボリックシンドロームの腹囲基準】(日本の定義):
男性:85cm以上 女性:90cm以上
内臓脂肪型肥満が危険な理由
なぜ血管が「狭くなる」の?
● 脂質異常(コレステロールや中性脂肪の増加)
肥満により LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪が増加
これが 血管の内壁(内皮)に沈着 →「プラーク(脂肪のかたまり)」を形成
血管の内腔(血液の通り道)が物理的に狭くなる
なぜ血管が「硬くなる」の?
● 慢性炎症と高血糖・高血圧の影響
肥満による炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6など)が血管の内皮細胞を傷つける
その結果、血管の弾力性が失われてしまう、加えて高血糖や高血圧も血管壁にダメージを与える
結果として
動脈硬化(血管が狭く硬くなる状態)・ 高血圧(狭く硬くなった血管を通すために心臓が強く押し出す)・心筋梗塞・脳梗塞(血流が詰まって起きる重大疾患)を引き起こしやすくなります

なぜ慢性的に炎症状態になるの?
内臓脂肪は単なる「エネルギーの蓄え」ではなく、炎症を引き起こす物質(サイトカイン)を分泌します
【内臓脂肪が炎症を引き起こすメカニズム】
1. 脂肪細胞が大きくなると酸素不足になる
脂肪細胞が肥大化すると、周囲の毛細血管では酸素供給が追いつかず「低酸素状態」に、これが細胞ストレスとなり、炎症反応が始まる

2. 炎症性サイトカインの分泌
肥大した内臓脂肪細胞やそこに集まった免疫細胞(マクロファージ)が、TNF-α(腫瘍壊死因子α)、IL-6(インターロイキン6)、CRP(C反応性タンパク)などの物質を分泌
3. 慢性的な軽度炎症(サイレント炎症)の状態が続く
自覚症状がないまま、血管内皮の障害やインスリン抵抗性、動脈硬化の進行などが静かに進行
4. インスリン抵抗性の悪化 → 2型糖尿病に
TNF-αなどがインスリンの働きを妨げ、血糖が下がりにくくなり糖尿病のリスクに
内臓脂肪が多い=炎症性物質の発生源が多い →血管・肝臓・筋肉など全身に炎症が波及 →生活習慣病の引き金となる
予防と対策
肥満や生活習慣病を防ぐには、次のような日常の心がけが重要です
バランスの取れた食事(野菜・魚・適度な糖質)
定期的な運動(ウォーキングや筋トレ)
睡眠とストレス管理
禁煙・節酒
定期的な健康診断
肥満予防のために推奨される運動の頻度と量は、厚生労働省やWHOのガイドラインに基づき、以下のように示されています
【基本的な推奨レベル】
■ 有酸素運動(脂肪を燃やす)
・頻度:週に5日以上
・時間:1日あたり30分〜60分(合計150〜300分/週)
内容例:速歩、ジョギング、 自転車こぎ、水泳、ダンスなど
※30分を一気にやらなくても、10分×3回などに分けても効果あり
■ 筋トレ(筋肉量アップで基礎代謝を維持)
・頻度:週に2〜3回
・部位:大筋群(脚、背中、胸など)
内容例:スクワット、腕立て伏せ、自重トレーニングなど
【補足】
運動に加えて「日常の活動量を増やす」ことも効果的です
・エレベーターではなく階段を使う
・歩いて買い物に行く
・長時間座りっぱなしを避ける(1時間に1回は立ち上がる)
まとめ
肥満は内臓脂肪の増加により慢性炎症を引き起こし、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病の原因となります
血管が狭く硬くなることで心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まります
肥満予防には、バランスの取れた食事と毎日の適度な運動が不可欠です
特にウォーキングなどの有酸素運動や筋トレを習慣化することで、内臓脂肪の蓄積を防ぎ、健康な体を維持することができます
活動的な生活が健康寿命を延ばす鍵となります
NEUROスタジオ東京